第85話

史哉くんからは、

頻繁に手紙が届いた。



ケータイも発売されるようになり、


私は、親、大輔兄、貴也兄の意向で

史哉くんと連絡をとりなさい。


って、言われケータイを持たされた。



毎日、メールをして。時々電話をして。


私の体調を気遣ってもらったり、

赤ちゃんは…?生まれてないか…?

って、聞かれたり……。



充実な、日々を過ごしていた。




体調が、急激に悪化し始めたのは


死ぬ3ヶ月前のこと。



その時は、既に………


妃愛の引き取り先は、

優哉に託す事が、決まっていて

あとは……わたしと妃愛が、母娘で過ごす時間を作るだけだった。



在宅療養………


親と姉の負担が大きくて、

「入院するよ。」って、何度も言った。



妃愛に、手を上げる度……


傷つけてしまう度……離れた方がいい。

十分、妃愛の成長を、見ることができたから、思い残す事はない……って言った。




思い残す事は、なかったんだ。

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