第80話

「梨絵子ッッ!?梨絵子!?

どうして……なんで………なんで………」



30分ほどして。


病室に戻ってきた、貴也兄に……

わたしは、発見された。



「中絶するよ、そうしか……ないもんね……私も、中絶される命だった……お母さん、お父さんは……なんで、産んでしまったのかなあ?生まれてこなければ、良かった。」



中絶同意書を、貴也兄に渡した。



" お腹の赤ちゃんの、未来の為にも……


前途多難、試練しかない人生が待ち構えている。

癌の母親、極道の父親、父親違いの兄、荒れる兄……病弱の兄………恨まれてしまうね。



貴女が、生まれることで……


周りの人の、人生を狂わせてしまうね。

私が、望まれない命……要らなかった命だったように……貴女は、幸せな人生を送れない…



私が、ママだから―――……。"




ごめんなさい、さようなら………



少しの間だけ、ママにしてくれて、ありがとう。

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