第69話

「…………史哉くん……?」


「梨絵ちゃん!梨絵ちゃん……

良かった、良かった、良かった……」



泣き腫らした目を、充血させて……

思い切り、抱きしめられた。


キツく、キツく……抱き締めてくれた。



「梨絵ちゃん、ありがとう。

頑張ってくれて、ありがとうッッ……

命懸けだったね、ありがとうッッ……」


「……うん………。」



妊娠は、奇跡で。


出産は、命懸け。



改めて、思い知った出産だった。




「ねえ、史哉くん……名前……」


「うん、決めたよ。赤ちゃんの名前。」




朝妃あさひ』 2人の声が、揃ったんだ。




「朝陽が、綺麗だね。梨絵ちゃん。」


「うん。朝陽が綺麗だよ、史哉くん。」




画像タイトルを入力…




病室の窓から、見えた朝陽が、

綺麗で、自然と涙が出てきた。



指で、涙を拭ってくれた史哉くんが、



朝妃あさひ。玖賀 朝妃。」



朝妃は、俺たちの思い出が深くて

思い入れのある、景色。


親子3人で、朝陽を、見ていこう……

って、思いを込められた朝妃。




望んで、望んで、やっと授かった…



待望の赤ちゃんだった、朝妃。

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