第62話

10年後―――………



「優哉くんッッ……優哉くん……

ごめんなさい…ごめんなさい……私が、私が………あの時………ごめんなさいッッ…。」



――――――

―――――――――



「ま、ま、まじっ!?

妊娠っ!?梨絵ちゃん、まじっ!?

いや、心拍確認してからだ……いや、でもな………うんっ、ありがとうッッ……ありがとうッッ………。辛いのに……頑張ってくれてありがとう……」



朝妃の妊娠を、飛び跳ねて喜んでくれた。



史哉くんは、浮かれて。


妊娠お祝いのケーキって言って、

2人で喜んだんだ。



排卵から計算しても、

史哉くんの子供だと思ったから。


優哉くんの、子供ではないと……。



「梨絵ちゃん、とにかく安静!

安静は、絶対だからね!

マタニティーブルーだっけ?何でも言って。

1人で、悲しまないで。」


「ありがとう。」



完全、過保護かした……史哉くん。



毎回の健診は、当たり前。


ちょっとでも、体調悪くしたら

家事、動き回るの禁止。



悪阻で食べられない時期は、

本と雑誌を買い漁り、作ってくれた。



病人扱いに、近かったと思う…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る