第60話

気付いたら、ベッドの上だった。



病院のベッドの上。


手首は、包帯を巻かれていて

ベッド横には、優哉くんが居た。



「………ごめんなさい………。」


「ね、梨絵ちゃん。

史哉のこと見くびってる?史哉はね、梨絵ちゃんが大好きなの。愛しているんだよ。

俺が、追い詰めてしまった?」


「………違うっ、同意。同意した。

そのあと…死ぬから、いいやって……」



――――――パシっ



「簡単に、命を粗末にするな。

生きていていいんだよ。梨絵ちゃん。

不安が、苦しみが…楽になって、笑えるんだったら…いいと思った。俺も愚かだよ。」


「……ゆーやくん………。」


「決して、流されたわけではない。

梨絵ちゃん、自分を責めないで。いいんだよ、自分を許そうよ。菜緒を育てられなかったこと。流産も……、梨絵ちゃん…悪い訳では無いでしょ?」



悪いんだよ、悪いの―――……。



私が、全部………わるい。




菜緒を、

自分の身体を守りきれなかった


私が、わるいんだ。



母親として、守れなかった……私が。

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