第58話

もう、身体の半分は……

宙吊りになっていた。


あとは、手を離してくれれば……

わたしは、死ぬ事ができた。



「梨絵ちゃん、手、掴んで!

離したらダメだよ!史哉と別れるつもりか?アイツを1人にするつもりか?

俺は、2人が…幸せになれるんだったら、鬼になる!なんだってする!」



" 生きてくれ―――……… "



そう、涙を流した、優哉くんを……

パニック発作を起こしていた、わたしは……



史哉くんだと、勘違いした。



――――――

―――――――――



雨に濡れ、身体が冷えてしまい…

優哉くんの上着を借りながら、

休める場所を、探して……歩いていた。



ふと、 足が止まったのが…ホテルだった。



史哉くんと、再会して……

二人で、入った場所だった。



「いこう。」



史哉くんだと、安心しきって……いた。



決して、優哉くんは……

涙を拭いてはくれたけど、抱き締めてはくれなかった。



史哉くんへの、配慮だったんだ。

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