第52話

赤ちゃんが、確認できた。


胎嚢ごと、出てきていた……。

流産……。二度目の流産だった。



「ふっ、ウッ……ごめん、ごめんなさいッッ……」


「何がよ。ごめんなさいじゃないよ?

梨絵ちゃん。妊娠は、奇跡なんだよ。」



私の頭の中は、1つしか……

浮かばなかった……。ひとつしか……。



流れ出てきてしまった、赤ちゃんを

史哉くんが、ジップロックに入れてくれた。


私は、腹痛と止まらない出血で、

貧血気味になり、寝込んでいた。



ごめん、ごめんなさい……。



夜、布団に入ってきた史哉くんが、


泣いている私の事を、

抱き締めてくれた。



その優しさが、温かさが辛かった。



「お嫁さんは、別の人のほうがいいよ。

わたしは………跡継ぎ……跡継ぎ。

史哉くんの子供を産めない。育たない…

お嫁さん失格。いいお話しも、きているんでしょ?……史哉くん……。」



" 私なんかよりも、確実に……

跡継ぎ 産める奥さん、もらいな。 "


今なら―――……今なら……まだ、

入籍前だから、史哉くんにバツは、つかないよ。



愛してる。



大切な、史哉くんだから……

玖賀を背負っていくには、子供が……必要。




私には、役目を果たすことができない。

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