第51話

現実は、残酷だった。



「残念ですが、心拍が確認できません。

また、来週来てください。」



エコーの映像に、

映し出された、豆粒の赤ちゃん。


形は確認出来たけど……



動いてなかった。

何度、何度見ても……動いてなかった。



妊娠は、3回目。


2回とも、初回の健診で、確認できた。

今回は、確認できなかった。



意味するのは、ひとつ。



既に、育ってないっていうこと。



「大丈夫だよ、梨絵ちゃん。

きっと、来週には…確認できるよ。」



"大丈夫、大丈夫 "

って、いう史哉くんの言う言葉が、

頭に入ってこなくて、

右から、左へと流されていった。



――――――



その夜―――……。



「うわあああああッッ……。」



私の叫び声を聞いた、

史哉くんがトイレへと来てくれた。




自然流産……。



赤ちゃんは、流れ出てきてしまった。

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