第33話

「玖賀邸、行くか?莉音。

じゃじゃ馬娘がね、起きないんだって。」


「はっっ!ひめかちゃん!!

行くっ!行く!優音兄も一緒にいこ!」


「ん。行こっか?莉音。」



葬儀の間、仕事を休んで…

村瀬家で過ごしてきた、優音兄。


もうすぐ、家に帰ってしまうんだよね。



「………わたしも〜……ッッ!!

妃愛のところ行くッッ!!!いくのっ!!!」



お父さんが、亡くなり―――……


強気で、勝気で、男勝りの詩音が

泣いてない時間はないんじゃないのかな?

って心配になるほど、ずっと泣き続けている。



正直、予想外だった―――……。



「詩音、行こっか。」


「莉音のくせに〜!!!お兄ちゃんぶるな〜!!

泣き虫じゃないもんっ、詩音…大丈夫だもん!」


「はいはい。」



泣いた目を、化粧で誤魔化して

学校に行こうとする、詩音。



「行ってらっしゃい、莉音、詩音。

優音、妃響くんとお話しがあるんだよね?それが終わったら、片付け手伝って。」


「了解、行ってくるね。」




お母さんは、父さんとの約束。



子供を育て上げること―――……


涙を流すこともあるけど、

普段と変わらない態度で接してくれている。

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