第16話

ICU集中治療室。



そこに、お父さんは居た。


緩和ケア病棟、ホスピス。在宅療養。

残りの人生をどう過ごすか、お父さん含めて話し合いが行われた。



頑なに……入院は拒んできた。



「死ぬまでの時間が決まってるなら」

俺は、死ぬ直前まで莉音と詩音と生活を送りたい。成長をこの目で焼き付けたい。

誠音も、玲音も、優音も…成長を見る事ができなかった。だから、俺は譲らない。」



誠音、玲音、優音。


生後間もなく、誠音は乳児院へ。

玲音兄と優音兄は、貴也さんの元へ。


お父さんとお母さんにとって、実質……

はじめての子育ては僕と詩音だった。



沢山、愛情を注いでもらった……。



「莉音、入ろっか。」



ICU集中治療室の特別室みたいな部屋。


個室になっていて、

周囲を気にせず、お話しができそうな部屋。



「……うん………。」



震える手と身体を、ひいにいが支えてくれる。



足が止まりそうだけど、

支えてくれているから、前に進める。

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