第17話

「………りおん………。」



掠れた声だった。お父さんの声が聞こえた。


良かった。良かった―――……。

間に合った……お父さん……。



「………ッッ………おとうさんッッ……おとうさんッッ……ごめんなさいッッ………にげて。

逃げちゃって、ごめんなさいッッ………。」



向き合うことが怖かった。


現実を直視すると、後戻り出来ないと思って

現実から、目をそらすことにした。


寂しそうにしていることは、知っていた。



「………いいんだッッ……りおん………。

がんばったな、がんばった………。よく、来たな……。莉音に会えて……よかったよ……。」


「やだよっ、やだよっ……おとうさんッッ………

おとうさんッッ……まってよッッ…おとうさんッッ……」



心電図のモニターが、徐々に平坦になり……

おとうさんの…反応も徐々に薄れていく。


やだ。やだ。やだ。おとうさんッッ……お父さんッッ!



「ゆうと……りおん……しおん……愛してる。

ありがとう……な、おれの子供に生まれてきてくれて……」



「ヤダっ!お父さんッッ!お父さんッッ」



なんで、そんな……


お別れの挨拶を言うの……?

お父さんッッ!なんで、言うのっ!



嫌だっ。嫌だっ。嫌だっ。

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