第15話

「莉音。家にきていいんだからね。

頑張ろうと思うのは、いいことだけど。まずは、莉音が…今までどおり生活を送ること。

おけ?約束できる?ひいにいと。」


「………うんっ、うんっ……。約束っ。」



ひいにいと、

人生で二度目の指切りを交わす。



一度目は、朝妃さんが亡くなったあと。

悠妃と仲良くして欲しい。



指切りげんまんを、した。



「ん、行こっか。莉音おいで。」



ひいにいに、差し出された手を握る。


子供の頃から、手を繋いできた。

悠妃が右で、僕が左手。

悠妃の意思で、僕はいつも歩道側の手を握ってきた。


ひいにいと、悠妃に守ってきてもらってた。



「うん、行く。」



本当は、怖い。恐怖と不安で押し潰されそう。


一人だったら、絶対に来れなかった。

多分、お母さんと詩音と一緒でも。



ひいにいと一緒だから、来れた。




待っててね、お父さん―――……。

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