第11話

「莉音、着いたよ。行こっか。」


「………うん、いく………。」



この病院を出る時は、

お父さんは亡くなっている。


そう、思うと―――……涙が止まらない。

病院の中に入りたくなくて、足取りが重い。



「莉音、やめとく?」



いつも以上に優しい、ひいにい。


僕の、僕の―――……

本当のお兄ちゃんならいいのに。

誠音よりも、ひいになら、良かったのに。



「………グスッ………いくっ………。」



末っ子、泣き虫、弱虫莉音。


そう、詩音からは言われ続けてきた。

詩音は、男勝りで、怖いもの知らず。果敢に挑戦していく強さを持っている。

僕は、詩音に泣かされ続けてきた。今も。ず


お父さんの病気が分かった時。


お母さんと詩音を守っていかないと…って思った。僕が、守っていかないとって…。



「莉音。」


「………ッッグスッ……な、にっ………。」



僕の前を歩いていた、ひぃ兄が立ち止まる。


お父さん…死んでしまった?

やっぱり、行くのやめる…とか?



僕を見て黙っている、ひいにい……。

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