第7話

「莉音。」


俺の腰に手を回し、抱き着いて泣く莉音。


今は、今は……莉音が落ち着くことを優先させよう。

無理やり連れて行っても、納得した別れではなくなる。向き合ってほしいんだ。



「……う〜ッッ……ッッ……もう、死んじゃう?危篤?」


「うん、危篤。一生懸命、生きようと頑張ってるけど、もう頑張れんと思う。」


「うう〜ッッ…いやだぁっ……いやだ…

まだお別れしたくないよっっ……嫌だっ……。」



莉音の、お別れしたくないは、

" まだ、一緒に過ごしたい… "

って、意味なんだよな。


まだ、一緒に居たいなら…病院に行った方がいい。



「莉音、行くのやめるか。」


「………う〜ッッ……いややッッ……おとうさんっっ……。」



俺の背中に顔を埋め、泣き出した莉音。



「莉音、辛いなら…無理にとは言わない。」



俺は、莉音が……自分の意思で。


お父さんを看取る…って、決断してほしい。

俺が、強制するものでもない。



「……ううっ、ううっ……グスッ……ひいにいっ……」


「なあに?りおん。」


「グスッ…う〜ッッ……グスッ…いくっ……ッッ…」


「うん、わかった。行こう。」



莉音が決意を決めたんだったら、

おれは、莉音を支えることに徹する。



人にあれこれ指図されて、決断することはちがう。

いまは、莉音の気持ち最優先。



莉音の、逃げ場が俺の役割だから。

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