タバコ
峰 葵
第1話 副流煙
私には二年片思いをしている男がいる。
その人に勧められたのが「たばこ」だった。
最初はむせて美味しくないと言う私を笑っていた彼
すぐ慣れるよと、 まだ開けていないメビウスのたばこをくれた。
これは家宝にしようと部屋に飾っている。
たばこを吸い始めてから自分の銘柄探す。
メンソール強い系が良かったのでブラメンにした。
八ミリのタールが肺に入っては口から放出される。
うん、 ブラメンが美味しく吸える気がした。
好きな人にも教えると立派なニコチン中毒だねと笑われた。
あなた中毒でもあるんです。
あなたのパソコンを打つ手や何かを書く手なによりたばこを吸う手がすきなんです。
「俺、 彼女出来たんだ」
一緒に喫煙所でたばこを吸っているときに、 打ち明けられた衝撃事実に八ミリが変な所に入ってむせる。
今までそんな素振り見せてなかったじゃないですか。
「彼女たばこ吸わないから止めてって言うんだよ」
たばこを教えてくれたのはあなたじゃないですか。
何故吸わない人を選ぶんですか。なんでたばこで縮まった距離を、無常にも離すんですか。
私は意味が分からなく二本目のたばこに火を点けた。
「んじゃ、 仕事戻るな」
どんな思いで手を振ればいいのか。
失恋というものを教えたのだからたばこの辞め方も教えてほしいです。
私は副流煙を巻き散らかしながら静かに火を消した。
タバコ 峰 葵 @mine_aoi_
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます