▶あらすじ

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 異世界≪アルダン≫では、魔法が生まれつき扱えない特異体質ガラル・ドゥーンの者は酷い扱いを受けていた。クルト・グランベルク(16)も、その一人。彼は、とある国の王子だった。しかし、同盟国の裏切りで国は滅亡してしまう。それから、18年。クルトは、身分を隠してひっそりと暮らしていた。

 

 ある日。異世界≪トウキョウ≫から招かれた総理大臣の娘・成瀬川風香(16)が盗賊に連れ去られた現場に遭遇。莫大な報酬を目当てにクルトは盗賊のアジトへ乗り込む。不慮の事故で吸血鬼族のローエン・サドネリアと血の契約を交わし、魔法が扱えるようになったクルトは、勢いで捕らわれた者達を率いて盗賊達に戦いを挑み、勝利を治める。しかし、盗賊達が大国に利用され裏切られた事を知ったクルトは風香を助けた見返りとして彼らの減刑を国王に求める。国王に気に入られてしまったクルトは、騎士見習いとなる。そして、騎士見習いとなったクルトの最初の任務は、風香の護衛としてマルドリア学園に編入することだった。


 転入初日。風香が貴族からの誘いを断った事で風香はゲームの商品となってしまい、クルトは風香を狙う生徒達の魔の手から守り続けなくてはいけなくなってしまう。しかし、クルトは学園生活を満喫していた。体質の所為で、幼い頃から酷いいじめを受け、学校へ行かずに育ったクルト。遅れてやってきた青春に戸惑いながら、一回り以上も年下の生徒達と絆を深めていく。だが、夢のような生活もクルトを妬む者達の所為で、脆くも崩れ去ってしまう。


 お尋ね者になってしまったクルトは、追っ手を振り払いながら各地を転々としていた。幼い頃の忌まわしき記憶が蘇り、クルトを心身共に蝕んでいく。そんなクルトを救ったのが、学園や逃亡生活中に出会った仲間達だった。彼らの存在が、復讐に囚われ、孤独だったクルトの心を癒し、クルトの内に眠っていた王の資質を目覚めさせる。


 クルトは、≪アルダン≫に寄生する≪トウキョウ≫との話し合いを求め、風香の力を借り、敵地へと乗り込む。しかし、≪トウキョウ≫では未曽有の危機が起きていた。鉱石ナノライトで狂暴化した同胞達を鎮めるために、クルトは仲間達と共に奔走する。同時に、市民の避難誘導やけが人の救護に全力を注ぐ。その中には、死んだはずのクルトの家族・グランベルク家に仕えていた者達の姿があった。彼らの力も借り、クルト達は鎮静化に成功する。


 しかし、クルト達の努力も虚しく≪アルダン≫と≪トウキョウ≫の関係は悪化してしまう。家を失くし、路頭に迷う者達の姿に、クルトは幼い頃の自分の姿を重ねる。希望者を募り、彼らを≪アルダン≫で保護する事を決め、心のケアに努めるのであった。

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