幽霊の願い
何かを呟く声が聞こえてきた。ゆっくりと目を開けた。その上には女の子がいた。さっきの幽霊だ。その瞬間、
「ゔわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
と飛び起きた。
「ビッ、ビックリした。お主、大丈夫か?」
彼女は僕のことを心配そうに顔を覗き込んできた。顔が近い…それに、なんだその口調は?思わずツッコミそうになった。しかし、それどころではない。
「僕は、死んでしまったのか…」
絶望が一気に押し寄せてくる。
「何を寝ぼけておるのだ。頬をつねってやろうか?」
と言って僕の頬を思いっきりつねってきた。
「ふぁひぃ、痛い!もうやめてくれ!!痛いってば!!」
ふぅ、ひとまず冷静になろう。僕はもう一度彼女を見た。彼女は僕と同じくらいの年齢で、髪は、まっすぐに伸びたロングヘアだ。それに、制服は…見たことない制服だった。どこの高校だろうか。極めつけは、僕はゆっくり下を見ると、やはり彼女の足は透けていた。つまり、彼女は幽霊だ。
彼女は蔑むような目で僕を見て、
「何をジロジロと見ておるのじゃ。やはりお主は妾のことが見えるのだな」
僕は黙って頷いた。すると彼女は少し考えるようにしてから、
「お主に頼みがある。妾のお手伝いをして欲しい」
声が静かに響く。
「手伝って欲しいだと…?」
内心、無数の疑問が頭を駆け巡っていた。この状況でどうやって幽霊の願いを聞けって言うんだ?怖い、でも断れば何が起きるか分からない。ここで彼女を怒らせたら…?
「いや、ごめん。無理だ!」
僕は内心、全力で逃げたい衝動に駆られていた。しかし、足が震え、身体はまるで地面に縛られているかのように動かない。頭の中で「これはまずい、やばい」と何度も繰り返していたが、口をついて出た言葉は、声が上ずり震えていた。
「無理じゃと?」
彼女は一歩、また一歩とゆっくり近づいてくる。そのたびに、まるで空気が重くなるようだ。僕の心臓がドクン、ドクンと早鐘を打ち、息が苦しくなる。
「お主が断れば、どうなるか分かっておるのか?」
「それでも無理なんだ。他の人にあたってくれ」
すると彼女は、悲しそうな表情を浮かべて、
「そうか、ならば仕方ない…」
そう言うと、彼女は突然僕の方に飛びかかってきた。抵抗しようとしたが、何故か力が入らず、どうすることもできなかった。僕の腕に彼女の冷たい手が触れると、途端に鋭い痛みが走り、皮膚が焼けるような感覚が襲った。
「ぐっ…痛ぇッ…!」
思わず腕を押さえると、そこに異様な感触が広がっていた。肌の上に浮かび上がる奇妙な模様が、じわじわと広がる。
「な、なんだこれ……?」
彼女は不敵な笑みを浮かべ、こう言った
「お主の腕に刻まれたのは呪いじゃ。妾がかけたんじゃ。願いを聞き入れぬなら、お主は死ぬぞ。」
まるで悪夢だ。だが、この痛みが現実だと突きつけられるたびに、逃げ道はどんどん狭まっていく。選択肢なんてない。今は、生き延びるために彼女の言うことを聞くしかないんだ。
「死にたくない……」その一心で、僕は観念して口を開いた。
「…手伝うよ」
それを聞くと、彼女は一転して満面の笑みを浮かべた。
「妾の名は天音 栞じゃ!お主の名は?」
「藤堂 蓮だ」
「おう!これからよろしくじゃ。今日はもう遅いから帰って良いぞ!明日学校に来るのを待っておるぞ!あと、その腕の模様は霊感がない奴以外見えないから安心するといいぞ。」
待ってるぞって…はっ!そういえば今の何時だ!?スマホを見ると、21時を過ぎていた。やばい!親に叱られる!僕は急いで立ち上がり、
「はいはい、旧校舎ね。僕はもう帰るよ」
そう言って慌てて家に帰った。案の定、親にめちゃくちゃ怒られた。もう、今日は本当に最悪だ!
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