第51話

だから、正確に言えばさっき知り合ったって感じだけど。



俺がそこまで説明すると、出雲は「……なんだ、そっか…」と一人で納得していて。



「……よかった」



安堵したように小さく呟いた。



よか、った…?



よかった……って。



……。



「……もしかして、心配してくれてんの?」



あまりに分かりにくい態度と言動に目を丸くしながら出雲を見ると、その瞳が動揺を浮かばせた。



「し、心配っていうか…!別に、そんなんじゃなくて…」


「…そんなんじゃなくて?」


「ただ私は!自分のせいで何かあったら後味悪いかなって思っただけで…」



早口で言い訳がましくペラペラ話す出雲に俺は思わず口元が緩んだ。



「だからつまり、心配してくれてんだろ?」



なんだよコイツ、分かりずらすぎるだろ。



思わず笑いを零すと、出雲は俺からふいっと目を逸らし顔を赤らめる。

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