第50話

「……あんな風に割って入って。一応…あんなでも先輩だし…。アイツらに、なんか言われたり…、とか…。」



言いづらそうにかけられた言葉は、俺を戸惑わせるのには十分すぎて。



……俺が、高橋先輩たちに何か言われてないかってことか?



いや、意味わかんねえ……。



なんでこいつがそんなことを?



「……別に、なんも言われてねえけど」



不思議に思いながらも、そう伝えた俺に出雲は険しい瞳をこちらに向けた。



「…本当に?」


「おう…。」


「なんか変に目、つけられたりとか……。」


「俺が、高橋先輩たちにってこと?」


「…うん」


「ないない。一応知り合いみたいなもんだし」



有り得ないと思って否定すると、険しい目つきをしていた出雲はカバンから手を離し、眉間に寄せていた皺をなくして大きな瞳をキョトンとさせた。




「……なんだ、知り合いだったの」



そのまま驚いたように呟く。



つーか、こいつ睫毛なが……。



若干関係ないところに思考がいきながらも、高橋先輩との関係を説明する。



「知り合いって程ではねえけど。俺の兄貴が高橋先輩と仲よくしてて…。だから、向こうも俺の事わかってたみたいだし。」


「…そうなの?」


「まあな。でも話したのはさっきが初めてだけど」

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