第49話
あー…!
もうほんと、最近なんかついてねえ。
そんな事を考えながら数歩歩いていた俺の足は、突然グッとなにかに引っ張られ止められた。
「っうお!、」
バッと振り向くと、駅に行こうとしていた俺のリュックを結構な力で出雲がなぜか掴んでいて。
はあ?!
なにしてんだ、コイツ……。
驚いた俺がそいつを目で捉えても、出雲はガッチリ鞄を掴んで離さない。
「おい、まだなんか…」
「…違うの」
「……?だからもう分かったって。つーか、手…」
「っ、余計なことっていうのは!そういう意味じゃなくて、」
「…意味?」
何を言いたいのか分からない出雲に顔を顰めながら同じ言葉を繰り返す。
「言い方、間違えたの…」
鞄をグッと掴みながらボソボソと話す出雲の顔は下を向いている。
言い方?
「…言い方、ってなん、」
「…だから!わたしが言いたいのはっ、あんたは大丈夫なのかってこと!」
グッと鞄を握る手に力を込めた出雲は俺の目を見るわけでもなく、下に俯きながら早口に声を上げた。
……は?
いや…。え?
「大丈夫って……、なにが?」
勢いに任せて出たような台詞にポカンとした俺が、その言葉をそのまま返すと気の強そうな瞳を揺らして、目線をさ迷わせる。
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