第48話

……もういいわ、めんどくせ。



「…そーかよ。悪かったな、"余計"なことして」



謝る俺に、不安そうな出雲が顔を上げた。



嫌味ったらしく『余計な』一言をつける俺は、女子相手に……つーか、他人に腹を立てたのはガキの頃以来だ。



……。



だって、俺は面倒ごとなんて嫌いだ。



周りとは上手くやりながらも、余計な事には首を突っ込まない。



感情を他人に振り回されて、自分が疲れるような真似はしたくない。



出雲の言う通りだ。



いつも通り、無視してればよかった。



俺には関係ねえんだから。



「そんなにビビんなくても、もう話しかけたりしねえよ」


「……、!」


「じゃーな」



何かを言いたげにしていた出雲に、きっと言われたいであろう言葉を伝えて、サッサとその場を立ち去ろうと駅方向へと歩き出す。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る