第45話

───────………



はー…なんか疲れた。



はやく帰って寝よ。



高橋先輩たちを見送って一旦教室に荷物を取りに戻った俺が、今度こそ帰るため靴を履き替えようとしていると。



下駄箱前の玄関で、俺の疲労の原因とも言える女が座り込んでいた。



こいつ……、誰か待ってんのか?



……つーか、んなところに一人でいたらまた絡まれるだろっ!



心の中でイラついた突っ込みをしながら出雲の横を通り過ぎた俺が校門に向かって歩いていると。



「ちょっと、待って!」



その声に振り向くと、出雲が慌てて俺の後を追いかけてきていて。



俺?



辺りを見渡してもどう考えても俺しかいない。



俺を見る出雲の顔はデカいマスクに隠されていてよく分かんねえけど、目元は相変わらず眉間に皺が寄ってるのが分かる。



また睨まれてっし…。

俺、またなんかしたか?



黙って待っていると、眉間に皺を寄せた出雲から小さな声が聞こえる。



「……さっき、なんで嘘ついたの?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る