第42話

突然登場した俺に高橋先輩たちが「なんだコイツ」と言いたげな目を向けてきてるのは分かってるけど、それに気付かないふりをする。



「お前なにサボってんだよ!」


「……え、」



ゴミを無理やり押し付けながら言うと、明らかに弱った声を出す出雲を見たら、止めに入ってよかったと思った。



出雲の手がまた震えてんのに気づいた俺は不機嫌な顔で続けた。



「え、じゃねえよ。ゴミ捨て、今日お前だろ?」


「………ゴミ捨て?」



マジでさっさと立ち去って欲しいのに、なんのことか分からないと言った顔で察しが悪い出雲が困惑の表情を浮かべる。



「とぼけても無駄な。先週も俺が代わってやってんだから」



ん、と押し付けたゴミを渡して目で訴えかけると、無言で袋を受け取った。



「ほら、さっさと行けよ」



出雲が通れるように横にズレてやると、何も言わずに高橋先輩たちに塞がれていた場所から抜け出した。



俺を戸惑ったように見ている出雲の姿をチラッと目で捉えて、高橋先輩たちに気づかれないように後ろでシッシッと手を払いつつ、苦笑いを浮かべると軽く頭を下げる。



「あー…なんかすみません…」

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