第41話

フォローして空気を変えようとしたのか、取り繕った声が聞こえた。



高橋先輩はもちろん、周りの連中も悪気はないんだろう。



んなの、見ていれば分かる。ただ、ふざけてただけだ。



大抵の女子相手なら、こんな空気にはなってねえだろうけど。



………あいつ、手ぇ震えてたよな。



あの時は大して気にとめてなかったけど、出雲って本当に気強いだけなのか?



「汐里ちゃーん、そんなに怒んなって、」



……あいつの態度が強がってるだけだとしたら?



…………。



「……っあ〜、くそ、!」



苛立ちながらゴミを引っ掴んだ俺は踵を返すと、ちょうど高橋先輩が出雲の肩に腕を回そうとする瞬間で。



「…!っやめ、「おい、出雲っ!」



それを制止するために、その場にいた全員に聞こえるくらいの声で出雲の名前を呼び付けた。



俺の呼び掛けに反応したのは、ビクッと肩を震わせた本人だけではなく高橋先輩もサッカー部の奴らも通り縋っていた生徒も。



一気にこちらへ振り向いた視線が俺へと集まるけど、そんなことは気にせずに出雲の周りにいた男たち数名の中にズカズカと割り込んでいき。



眉間に皺を寄せた俺は出雲に自分の持っていたゴミを押し付けた。

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