第35話

「えっ、ああ…。今日体育あるから…」


「あー、動くと邪魔だから?」


「うん、ボサボサになるし」


「ふーん、いいんじゃねえ?」


「え?」


「俺その髪型好きだわ」



そこまでわかりやすく言うと、口端をあげた俺を見て宮野はちょっと嫌そうな顔をしながら頬を染めた。



「絶対思ってない…」



そう言って前に向き直る。



その反応に満足した俺は、「んな事ねーのに」と否定しながら宮野から黒板へと視線を移した。



満更でもなさそうな宮野には以前からちょくちょく、"そういう"オーラを出されていた。



先月あたりに席が前後に替わってからは、特に好意がわかりやすく見て取れる。



まあこれは告ったら100パー付き合えるだろうな。

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