第31話

「……高嶺の花だからじゃね?」



俺の質問に意味不明な理由をこじつけるアホな樹の回答が返ってくる。



「…だったらなんで男嫌い?」


「そりゃ、決まってんだろ」


「……」


「汐里ちゃんの目にうつる男はみんなじゃがいもだからだ」



……はあ。



樹に聞いた俺が馬鹿だった。



樹を冷めた目で見ると、言いたいことは伝わったのか不服そうな顔をする。



「知らねーよ!俺が知るわけねえだろっ、話したこともねえんだよ!つーか目すらあった事ねえよ!」



開き直ってグチグチ言い出す暑苦しい男。



「お前、一年半もストーカーやってるくせにかよ」


「誰がストーカーだっ!」



構わずツッコミを入れると、それにぷりぷりと怒る樹はキレながら自席へと去っていく。



その姿を笑っていると、スマホをいじっていた浩介がじっと俺を見ていて。



「……なんだよ」



浩介に意味ありげな視線を向けられた俺が聞くと、穏やかな雰囲気を纏っている男は口端をあげる。

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