第21話

あー、なるほど……。



たっつんから出雲汐里へと話がいったわけだな?



それでバレたらマズイってことで、わざわざ俺に釘を刺しにきたって感じか……?



つーか、なんで今更?

根回しするにしても遅すぎんだろ……。



やっぱりたっつんも隠す気ねえだろ……。



「なんだよ、んな事かよ……」



とりあえず事態を把握した俺は小さく息をついた。


すっげぇ剣幕で何言われてんのかと思ったら……。



「いちいち言いふらしたりしねえよ」



こんなわざわざ釘刺しにくることか?



生徒と教師って、何考えたらそんな面倒くせえところにいこうと思うのか分かんねー。



適当に出雲汐里をあしらって、ホチキス止めを再開しようとそいつの顔から目を逸らし、出雲汐里が手をついたプリントの山に目を向けた。




え、こいつ……。

手ぇ震えてね?



「……お前、」


「…そんな事じゃないから……」



その違和感に気づいて口を開こうとした俺に、そう言葉を放ってきた出雲汐里をもう一度見た。



「いや、まあ……。つーか、別に付き合ってようがどうでも、」


「っ勘違いされたらこっちは困るの!」



放課後の人がいない教室に出雲汐里の声は割と響き…。

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