第17話
最後の数学の授業中に問題を当てられた俺は、黒板と睨み合うもあえなく玉砕。
数学の川井は生徒でストレスを発散するタイプの粘着系のネチネチ気分屋オヤジ。
今日も俺が黒板の前で固まっているところをニヤニヤニヤニヤと嫌味たらしく眺めて「なんだぁ〜?新堂にはこの問題難しかったかあ〜?」「お前が解けないとみんなが次の勉強に進めないだろお」と、なんやかんやネチネチネチネチと言いやがって…!
挙句の果てに白旗をあげた俺に、こうして放課後に居残りと称して数学と全く関係ない雑用を押し付けて来たってわけだ。
許すまじ、川井の野郎…!
「眞紘くーん、わたし今日日直なんだけど…」
川井の顔を思い浮かべてイライラしていると、クラスメートの宮野りこが話しかけてきた。
「ん?日直?」
「うん。それ手伝ってあげたいんだけど、今日バイトで……」
そう言って申し訳なさそうに謝る宮野。
あー、そうか。
教室を見渡すと残っているのは、すでに俺と宮野だけで…。
「あー、大丈夫大丈夫。ごめんな、気ぃつかわせちゃって。鍵閉めとくから」
意図を汲み取って伝えると、もう一度謝りながらも鍵を机に置いて宮野は教室を後にした。
「あいつ、良い奴だよなあ……」
単純に思ったことを小さく独りごちって、山のように乗ったプリントを3つ合わせてホッチキスで止めていく。
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