第16話

***



そのまま昼休みにサトルたちとバスケをした俺は、その時の出来事なんてすっかり忘れていた。



5限の授業中に呆れるほどに分かりやすいたっつんが何度か俺の方をチラチラ気まずそうに目配せをしてくるので、気づかないフリをしてやり過ごしてやった。



つーか、俺にとってはそんなのどーっでもいいわけで。



樹、ドンマイ。



お前の一年半の恋は、終了のお知らせだ。



心の中でギャーギャー五月蝿い樹に手を合わせた俺が、改めてその出来事を思い出したのは、それから1週間程経った時だった。




────────………




「じゃあなぁ、まーひーろーくんっ」



心底ムカつく笑顔を見せる樹が今にも吹き出しそうになりながら声をかけてくる。



「ついてねえよなあ」



鞄に手をかけた浩介もその横で呆れた様子で笑っていて。



こいつら……。



「くそ〜…なんで俺だけ…」



俺は二人の顔を睨んで文句を言いながら、机に置かれたプリントの山を破り捨てたい衝動を抑える。



「んなの決まってんだろ」


「あ?」


「眞紘くんの日頃の行いが悪いから♡」


「樹…コロス」



ヤケになって反論すると、二人は吹き出すように笑ってからサッサと教室を出ていく。



腹立つ…。

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