第13話

「俺はさ、他人の恋愛にどうこう口出すつもりもねえし、言いふらしたりもしねえから」



「……ん?」


「けどよー、さすがにもうちょいバレねえようにしろよな」


「バレないように……」


「そうそう。他の生徒に見られたら、噂なんて一瞬で広まるんだからよ。その辺気をつけて…」



「えっと、なんの話し?」



たっつんはしらばっくれるつもりなのか、善意で忠告する俺の顔を不思議そうに見つめる。



「いーよ、隠さなくても。俺もう分かっちゃったから」


「隠すって…なにを?」


「付き合ってるんだろ?」


「付き合ってる…?」


「出雲汐里と。」


「え?付き合ってる?しい……出雲さんと、誰が付き合ってるの?」


「は?たっつんがだろ?」


「えっっ、僕が!?!?!」



俺がそうだろ?という口調で聞くと、目をこれでもかと言う程に見開いたたっつんが驚いた声を出す。



「いーって。そういうの、俺マジで口堅いから安心しろよ」



「ち、ちちちちちちちちちちちちちがうよっ!!!!!!どういうこと!!?!?」



俺の言葉に信じられねえくらい"ち"を連呼したたっつんがとんでもなく焦って否定してくる。

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