第12話
俺はしまったと思い、口元に手を当てる。
今の出雲汐里のひと言で完全に、んな事忘れてたわ。
「……ど、どうしたの?新堂くん?」
突然黙り込んだ俺をたっつんが覗き込んで問いかけてくる。
生徒と教師がって、どうなんだ……?
まあでも正直たっつんは若いしなあ……、嫌な奴でもねえし……。
そうなってもおかしくはないっつーか……第一俺も良く考えれば他人の恋愛をどうこう言う性格でもねえし……。
俺を見るたっつんにはいつも通りに穏やかでいかにも優しいという笑顔を浮かべている。
「……はあああ〜〜〜ぁ」
俺は気まずくなりながらも、力を抜くようにそのままデカいため息を吐いた。
「……新堂くん?」
「たっつんさあー……、」
「うん?」
「……もうちょい隠した方がいいぞ…」
「……へ?」
「資料ってどれ?」
「え?……あ、ああ…これなんだけど…」
戸惑いながらたっつんが渡してくる資料のプリントを受け取りながら、俺は片手でたっつんの肩をポンと叩く。
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