第6話
「はあ?!俺のどこが馬鹿なんだよっ」
キャンキャン五月蝿い子犬のように吠える樹は、この通りいつでも本気で暑苦しい。
「もう行くの?」
それに慣れてて完全に無視する浩介に目だけで見上げられ、軽く頷く。
「日直。資料室に荷物取りに来いって言われててさ」
「あーそうだったね、行ってらっしゃい」
「おいこら眞紘!ちょっと待たんかーい!」
「だるいけど行ってくるわ」
浩介と同じように五月蝿い樹を完全に無視して、トレーを返した俺は、社会科資料室へ向かった。
5限の世界史は、新任教師の
佐原先生は、良くも悪くも生徒との距離が近い。
おっとりとして見た目も中身も穏やかな男をほとんどの生徒がタメ口で話しかける。
佐原先生と呼んでいるのは真面目な生徒くらいで、やはりほとんどの生徒からは『たっつん』と呼ばれている。(名前がたつみだから)
少々おっちょこちょいで、この前なんか靴下の中にズボンの裾が入ったままだったし。
それをおちゃらけたクラスの男たちにからかわれて……まあ要はちょっとしたいじられキャラだ。
だからと言って嫌われてる訳では無い。
むしろその逆。
生徒からは親しみやすく、かなり好かれているのではないだろうか?
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