第76話

「ようはパシられたんだな」



面白そうにそう言われ、つられて微かに笑う。



「まあ、そうだね。パシられたかも」



ただのお使いなんだけど。



それにわざわざパシられたなどという言葉を使う息吹藍が面白いと感じていると。




「つーか、光、ちょっと時間ねえ?」



唐突に、そう聞かれ。



時間?

別に無いわけじゃ…。



「少しなら…。なんで?」



「いや…。ちょっと頼みてえ事があんだけど。」



頼みたいこと?


え…それって、息吹藍がわたしに?



少々気まずそうに言われ返事もせずにポカンとしていると、わたしの肩をポンポンと二度ほど軽く叩き「先に醤油買ってこい」と息吹藍が店内を出ていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る