第57話

「え?」



似合ってる?


思わずそれには聞き返す。



「似合ってるって…制服が?」



「うん、そうだね」



穏やかに頷かれ、首を傾げそうになった。



似合ってるって…制服が似合わない人なんているの?



そう考えてからすぐに息吹藍のことを思い出した。



いる、いるな。


制服が似合わない男。


制服なんて着ている感じも見せないような見た目が不良の男…。



気崩された制服は、まあそれはそれでいいんだけど。



そうじゃなくて似合わないというよりは、息吹藍には合ってないという感じがして…。



「聞いてる?」


「え?」



無意識的に別のことを考えていて全く薫くんの話は聞いてなかった。

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