第47話

だから、彼女がそんなふうに思っているのは意外だった。



そんなことを思っていると、ゆっくりと車が停車して。



マンションの前に着いたのだとわかる。



やはり送ってもらうような距離でもないくらいに近かった。



けれど雨は酷くなっているし、足の痛みがあったからとても助かったと言えて。



「…ほんと、ありがとうございました」



ぺこりと頭を下げると、背もたれにどっしり寄りかかる男が目だけをこちらに向けてくる。



「いいけどよ…。それマジで病院行った方がいいんじゃねえ?見た感じ結構深かったぞ」



視線を合わせ、下に降りるように膝に目を向けられる。



早くも絆創膏に血が滲み始めている傷は、確かに浅くはなかった。

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