第44話

そう言われて、雨で濡れさらに転んだことで汚れる自分の制服を見る。



南高とはわたしの通っている高校。



本当は南高ミナミコウだけど、誰もがナンコウと呼んでいて。



偏差値はそこそこ良かったりするから、それを言われているのだと分かり。



「んなところ馬鹿じゃ入れねえだろ」



よく分からないという風に言われて。



馬鹿じゃ…って。



そりゃあここら辺では1番の偏差値の高さだから、そこそこの頭の良さがないと入学すら出来ないけど。



わたしが否定したのはそこじゃなくて。



「馬鹿とかそういうことじゃなくて、別に優等生じゃないってこと」



自分が馬鹿だと思ったことなどは、正直一度もない。



でもだからって、くそ真面目な優等生かと言われると、そこまで優等生って訳でもないから。



なんだか真面目しか取り柄がないと思われるのが癪で、否定すると前を見ていた息吹藍がわたしを向く。



「それさあ、何が違うんだ?」



「…何が?」



「馬鹿じゃねえって、ゆーとーせーってことじゃん」

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