第22話

母親の言ったことが本当だったと信じざるを得なくなったのは、本当にすぐ。




────その話をした翌日の朝の事だった。




いつものように学校へ行くため、19階の自宅から出たわたしは下方向へ向く矢印のボタンを押し、上から降りてくるエレベーターに乗り込もうとした。




わたしが待つ階へエレベーターの箱がたどり着き扉が開いた時、中にいる男を見て、本気で唖然とした。



どうも20階から先に乗り込んでいたらしい男の姿が信じられない程の不良だったからだ。




エレベーターの開閉ボタンの前に気だるそうに立つ男が、開のボタンを押しながら面倒そうにこちらを見なければ、一歩後退りそうになっていたくらい。



信じられない気持ちで目を向けていたその男と目が合いそうになり、瞬時に視線を彷徨わせて、慌ててエレベーターに乗り込んだ。




「……」

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