第8話
わたしがつまらない家庭の事情を話しても、薫くんは終始笑顔で聞いてくれる。
「分かる分かる。親って、ほんとうるさいよな」
「薫くんの家も?」
「うん。俺の家は父親の方がなにかと口出してくるんだよな」
「へえ、どんな風に?」
「うーん、色々あるけどやっぱ一番うるさいのは勉強の事かも。成績とか、落ちてるとすっげー怒られんの」
薫くんが?
そう言って笑う薫くんを少々驚きながら見つめる。
だって、薫くんは正直、この塾の中でも…というか、学校の中でもトップクラスに頭がいいし。
薫くんの成績で怒られるなんて、それならどれだけ頭が良ければいいの?飛び級するくらいじゃないと認めない程?
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