第4話 エメラルド王国
前回、窮地に陥った賢者の少女を救い主人と慕われるようになったこの俺コウイチは彼女が住むエメラルド王国の城下町へと向かうのだった!
エメラルド平原をゆっくりと歩く俺たち。この子を救ってからというもののどこでもついてくるようになっていた。。。
その度にトラップに引っかかったり底なしの沼に突っ込んだり、モンスターに襲われたりと………まぁ手間のかかる子だ。
そしてしつこく王国に来いと言ってくる。
これ以上危険な目に合わせられないので仕方なくてついていく事にした。
「なぁ………ここからエメラルド王国ってどんぐらいかかるんだ?」
「だいたい10分ぐらいです!!」
「そ、そうか……」
「コウイチ様‼︎コウイチ様の職業ってなんですか?」
「えっ?えーっと……」
ここで守護神なんて言ってしまえば俺の目指すのんびりライフが終わりを迎えてしまう。何か言い訳できる職業は………
(魔法使い?……いや魔法は好きじゃない。戦士?それにしては魔力がデカすぎる……)
そのとき自分が作ったゲームの主人公の職業を思い出した。
(このセカイにあるかは知らないけど……名乗るだけだしいっか………)
「魔剣士ってとこかな?」
「魔剣士……?」
(やっぱなかったかぁぁぁ!もう正直に守護神っていうしかないのか……いや待てよ………いきなり神って言って信じてくれないに違いない‼︎きっとそうだ‼︎)
「あのな……実は俺……」
「コウイチ様すごいです‼︎」
「えっ?」
「聖剣士に並ぶ超上級職業の魔剣士なんて‼︎」
「え………?」
「?」
「……………」
「ええええええええええええええええええっ!?」
自分が考えた完全オリジナル職業がまさかこのセカイに存在していたのだ。
意味がわからん。
「このセカイ………心臓に悪すぎる………」
「?」
そしてまたしばらく歩くと森の中へ入って行った。
モンスターに襲われる彼女をガードしつつ草木をかき分けながら王国の城門へ向かう。
「そういえば君の名前は?」
「私ですか?」
「ああ」
「私、リーナ・シュトロームです」
「そっか、よろしくな!リーナ!」
「はいっ!コウイチ様!」
「あっ!つきました‼︎城門です‼︎」
森を抜けるとでっかい花畑の上に立派な王国が建っていた。
「ほえーこれがエメラルド王国かー」
「4つの王国では一番小さいですけどね……」
「そうなの?」
「はい………王国は昔から魔物との交流を伝統としてきました。」
「そういえば魔物とモンスターって何が違うんだ?」
「意思疎通ができるのが魔物。できないのがモンスターです。」
「はぇーそういう感じか」
「それで、他の地方は魔物とモンスターは滅ぶべきという考えが強いんです。」
この時点でなんとなくわかったが………話の続きを聞いてみる。
「だから、エメラルド地方は汚れた場所と言われ他の地方との交流が閉ざされてるんです。」
「だから発展していない………ってことか……」
「はい……」
そんな事を話してると城門前に到着した。
「冒険許可証を拝見させていただきます。」
リーナは懐に入れていた紙を門番に見せる………あれ?俺持ってないぞ
「………どうぞお入りください。」
「次の方どうぞ」
(ヤッベェ‼︎どうしよう‼︎俺なんも持ってねぇって‼︎)
恐る恐る門番へ近づく。
「冒険許可証を拝見させていただきます。ご提示願います。」
「えーっとその〜…………」
「どうされましたか?」
「俺……実は持ってなくて…………」
「その手に持っているものがそうではないのですか?」
「は?」
自分の右手をみてみるといつのまにか一切れの紙を握っていた。
「なんだこれ?いつの間に………」
「冒険者様……後ろが詰まってますので………」
「ああっ!すみません!」
俺は焦って冒険許可証を見せる。
「……………!?」
すると門番は驚いたような表情を見せた。
「どうかしました?」
「い、いえ………!お入りください……!」
門番が槍で門を叩くと城門が開き始める。
城門が完全に開くと、そこに見えたのは優雅な城下町………ではなく。
まるで弥生時代の集落みたいな感じだった。
家は竪穴住居で地面も整備されておらず土のまま。
ただ教会?だけは洋風のもので石造りだった。
「確かにこりゃ発展してねぇな…………」
「コウイチ様‼︎今日は教会で休みましょう!」
「え?宿ないの?」
「宿は質があんまり良くないので………教会の方がいいかと思います。」
「お、おう………」
エメラルド王国…………孤立したこの地方で俺はこの先どうなるのだろうか?
次回………守護神ってことバレたああああああああ!!
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