第3話 エメラルド地方での出会い。

前回、自分のセカイに到着した守護神コウイチは楽しみにしていたレベル上げを潰され、途方に暮れていた。

そんなときにどこからか叫び声が聞こえ最初の守護神としての仕事が始まったのだった!!


「声が聞こえたのは確かここらへんなはず……!」


すると誰かが、戦闘してる音が聞こえた。

そこには4人の冒険者とでかいモンスターがいた。


「だ、だれかー!!」


「な、何なの……このモンスター……!」


「ヒィィィ!!」


「…………っ!!」


一人はチャラそうな剣士


もう一人はウザそうな魔法使い


そしてもう一人はたぶん武闘家。逃げてばっかりの軟弱者だが……


あともう一人は………あの感じ僧侶か?どうすればいいかあたふたしてる。


「ちょっと‼︎あんた僧侶でしょ!バリア貼りなさいよ‼︎」


「あ…う…バ、バリアは僧侶の仕事じゃ………」


「うるっせぇ‼︎だったらテメェが囮になりやがれ‼︎」


「きゃっ!?」


チャラそうな剣士は僧侶である少女の胸ぐらをつかんでモンスターの前に放り投げる。


「いまだ!全員撤収ー!!」


残る3人は蜘蛛の子を散らすように逃げてしまった。


「あ……ま、まって……!」


『グォォォォッ!!」


少女は後ろから迫るモンスターにおびえて動く事が出来ない……


(だれか……お母さん……お父さん……!)


モンスターが鋭い鉤爪を持つ腕を振り上げる。


(だれか………だれか………神様……!)


少女が死を覚悟した……次の瞬間だった。


「お陀仏はまだ早いんじゃねぇか?」


「……!?」


その瞬間ズドォン!!っと重たい音が響き、辺りが衝撃波で吹き飛ばされる。


少女は何が起きたかと後ろを振り向く。


そこにあった光景はいつの間にかそこにいた銀髪の少年と上半身を吹き飛ばされた上級モンスターの姿だった。


「ちょいとやりすぎちまったかな?」


「大丈夫か?お嬢ちゃん?」


そこに立っていたのは……そうこの俺!コウイチである!


「あ……え……」


(こ、この人……すごい魔力……!あんな上級モンスターを一撃で……!)


(しかも後ろの森も消し飛ばしちゃってるし……)


「もしもーし!大丈夫かー!?」


「あっえっ!?は、はい!」


「ほら、」


とりあえず手を差し伸べる。


「えっ……あっ……え?な、なんですか?」


「何って………立てねぇだろ?」


俺は少女の手を掴み引っ張り上げる。


「あっ……ありがとうござい……ます。」


「オメーこの地方の人間か?」


「はい………エメラルド王国の賢者教育学校で育ちました……」


「賢者教育学校って………あれ?きみ僧侶じゃ?」


「実は……私……賢者なんです……」


「まじでっ!?」


その後少し話を聞いてみた。


どうやらエメラルド地方は魔物との交流が盛んで魔法が発達しているらしい。

剣士や戦士よりも魔法使いや僧侶が多く、冒険のメンバーを探しに王国に来る冒険者も多いとの事だ。

彼女はその中でも賢者の素質を持って生まれたのだという。


「でも才能が開花してなくて………賢者という事を隠して僧侶ということにしてるんです………」


どうやら賢者は貴重な存在で誘拐してオークションで売る人もいるため賢者という身分を隠さなきゃいけないという事だ。


特に賢者として覚醒してない子供は高く売れるらしい。


「ほぇー……なるほどね」


「わたしなんてダメな賢者です………ステータスが低いし……」


「そんな事ないと思うぜ?」


「え?」


「その人が優秀かどうかはステータスだけで判断するもんじゃないさ、ステータスはあくまで今の強さの目安に過ぎないしな。」


「………」


「ほんとに強いやつってのは目標にぶつかれる人間だ!ぶつかって砕けて、ぶつかって砕けて………それを繰り返して自分を無駄なく丸くするんだ」


俺はかつて前世で信頼していた前社長の言葉を借りて話す。


俺がクビにされたのは社長が変わり会社の方針が変わったからであり、才能のない俺を拾ってくれたのも人生のアドバイスをしてくれたのも前社長だった。


それは1年前…………


「コウイチ君……わたしの話をよく聞いてくれ。」


「はい……」


「どうして今までパワハラを受けていたことを黙ってたんだい?」


「社長に……迷惑をかけると思いまして……」


「ほう………では、一つ質問をしよう。」


「はぁ……」


「君はやられっぱなしの自分は好きかね?」


「え……」


「やられっぱなしの自分は好きかと聞いている」


「………嫌いです……」


「やられっぱなしなんて!俺!大っきらいです!」


「そうか……ならぶつかれ……」


「は?」


「嫌いな自分に全力でぶつかれ……当たって砕けろ……!自分を丸くするんだ……!」


「………!」


「はいっ!社長!!」


……………………


この言葉はいまだに覚えてる……社長は僕の恩師だ……だから社長が俺を救ってくれたように俺も……!



「だから……!」


「だから!嫌いな自分に全力でぶつかってこい!!」


「………!」


「全力でぶつかって砕け散るんだ!!」


「っ………はいっ!!」


彼女はそこら辺に咲いてる花みたいにキレイな笑顔だった。

どうやら俺にもできたらしい。恩師と同じことが。


「じゃ、おれはこれd………」


すると突然手を掴まれる。


「コウイチ様!王国へ行きましょ!」


「えっ!?コウイチ様!?」


「はいっ!コウイチ様はわたしの主です!」


「ええっ!?それは……」


「早く行きましょ!!」


「ちょ、ちょっとぉぉぉ!!」


次回


エメラルド王国城下町。









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