13.朱理、愛すべき人

第13話

「そうしたら朱理は言った。

もしも、結婚していても

別の人と結婚してと。


私が人生で一番大きな

存在だと、佐久間さんは

もう何もできなくなるから。


絶望の毎日で後追い自殺を

考えて残りの全人生を終わる。

そんな佐久間さんを天国から

声もかけられずに見下ろすのは

嫌だから。って」


佐久間の目に涙が

光りそうになる。


「朱理さんらしいって

言えば、朱理さんらしいですね」


マネージャーの

瞳もうるみそうになる。


「今回のチャリティーコンサートの

10分の1の資金は

佐久間さんがかき集めたんですよね?」


言葉を続け

にっこりと笑う

マネージャー。


「10分の1というのが

カッコよくないなぁ!

全額とか言えよ」

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