第5話 転機 2




横浜市内に戻って山下公園近くのカフェでお茶をした。


はぁー・・・。


確かに23歳で、親頼って働きもしないで家に居た私がいけないんだけどさッ・・・・。


だからってあんな学校・・・・。


ある意味罰ゲームじゃない・・・。




「はぁ・・・。」


コーヒーは美味しいけど、ため息はかなり深い。


港には大きな船。


いいなーー・・。


あの船何処に行くんだろう・・・。


私もどこかに行きたいな・・・。


カフェのテラス席で港を眺めていると・・・・。



「瑠衣?」


・・・・・・。



脇から聞き覚えのある声・・・。



この声って・・・。


頬杖をついてる手から顔を上げその声の方を見た・・・。


そして、直ぐに私はその人の名を声に出した。


「・・・・・。夏希さん・・・・・//////」


そこでトレーを持って私を覗き込んでいたのは大学の先輩・・・。


夏希さんだった・・・。





「でっ?!何でそんな地味な格好??」


夏希さんは、私の横の椅子に腰かけ私の格好を見て爆笑しながら言った。


確かに!



地味なスーツ・・・。


「だからぁー・・・、父が学校紹介してくれてー・・そこの面接だったんですよッ。もう嫌になっちゃう・・・。」


今更教師なんて・・・・。


夏希さんは笑って・・・・。


「アンタが教師とはねッ!でも免許持ってるんだもんね??いい機会なんじゃない??」


夏希さんは綺麗な髪を耳にかけタバコを吸って言った。


相変わらず綺麗だなぁ・・・。


あ・・・。


「夏希さんは外資系でしたっけ??」


「そう~ッ!来月から仕事でNY行くんだッ!」


格好いいーーーー・・・・。


私なんて、取りあえず教員免許取ったけど・・・・でも教育実習でもう嫌になって・・・。


フリーターやって・・・彼氏に振られて・・・。


自分の情けない生活を思い出すと、ため息が出た。


「もーーー、そんな暗い顔しないのーーー。また新しい男探そう!!そんな出て行った奴なんて忘れなさい!!!」


男に逃げられ・・・しかもお金も家具も持っていかれたなんて・・・。


「恥ですよね・・・・。」


ボソッと思わず口から零れた。



しかもその後何も出来ずに仕事も辞めて実家に籠り・・・。

我ながら情けない。


「瑠衣はさーー・・、人を疑わないじゃない?良いとこでもあるけどーー・・少し危なっかしいッ!」


夏希さんはそんな私の言葉をぶっ飛ばすように笑って言った。


「危なっかしい・・・ですか???」


「いいのよ?そのままで、・・・でもーー・・すこしはそんな前兆あったんじゃないの?」



前兆・・・・。


「まぁいいのよッ!人は傷ついて立ち直ってどんどん強くなるんだからさ!」


強く・・・か・・・・。



「大輔よりいい男なんていっぱいいるわよ。・・・だからーー・・そんな顔してないで頑張ろう??」


夏希さん・・・。


「よしよし!今度私が知り合いに言って合コン設定してあげるから!!」


えっ!


夏希さんは大学の時サークルで知り合った憧れの先輩だ。



見た目はかなり綺麗目女子でモテまくっていたが・・・その男関係は謎!!


いつも一緒に居た美晴さんも綺麗だったもんな・・・。



美晴さんと夏希さんって・・・高校時代から仲良いって言ってたけど・・・・。


こんな美貌を持ってる人って羨ましい・・・。


夏希さんと一緒にみなとみらいを歩き桜木町の駅まで行った。



なんか夏希さん、・・・横浜が似合うな・・・。


「瑠衣??」


あ・・・。


「夏希さん・・・綺麗になりましたね・・・。昔も綺麗だったけどなんか一層にッ」


夏希さんはまたサラッとした綺麗なカールした髪を耳にかけ・・・。



「瑠衣だってちゃんとしたら可愛いんだからさ・・・男と別れても・・・手抜くんじゃないよッ!!」



・・・・・。


見抜かれたッ・・・。


夏希さんと別れて私はバス停に向かう・・・。


男と別れて手抜き・・・か・・・。


最近ずっと美容院も行ってなかったし・・・。


化粧も・・・服も・・・。


手・・・抜いてたな・・・。



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