いつまでも悲しみは続いたが、ずっとこうしてはいられず、やれ受験だやれ就職だと忙しさに追われた。



企業に就職し同期になった立花と営業に行く。


今年は10年ぶりの猛暑だとニュースでやっていた。


その言葉通り、暑さで汗が止まらない。



「なー…瀬川…アイス買って来いよー…。」


『知るか。自分で行け。』



くだらないことを言い合いながら営業先への道を歩く。


タクシーを使う程の距離ではないとは言え、暑さで倍ほどの長さに感じる。



「あ、蝉。」



立花がピタッと足を止めた。

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