走ると怒られそうなので、できるだけ早足で歩く。


足が空回りしてコケそうになる。



303号室の目の前に来て、少し緊張しながら扉を開けた。




最後に教室で見た蝉川さんが、そこにいた。




「あ、れ……侑介くん…。

あはは…来ちゃったんだ。」



困ったように笑う蝉川さんは、思ったより元気そうで少し安心した。


今思えば、何故こんなに俺は焦ったのか。


別に命の危険が迫っていると聞かされたわけでもないのに。


でも何故か、不安は消えない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る