「ふふ、それも面白そう。

わざと死んだふりして、人間をおもいきり驚かすの。」



いたずらっ子のような笑みを浮かべながら言う。



『おいやめろよ…。

たとえ蝉に生まれ変わってもやるなよ?』


「男の子なのにビビリなのね。」


『うるさいな…。』



パタパタしていた下敷きを拗ねたようにペコペコして遊ぶ。


その様子を見て、また蝉川さんは笑う。



蝉川さんの笑顔は儚げで、すぐに消えてしまいそうで、まるで夏の陽炎のようだと思った。



『(まぁ…陽炎ほど、暑苦しさは無いけど…。)』

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