そして追い打ちをかけるように私を傷つけたのは弟の雷斗からの言葉だった。
その時私は9歳になり雷斗は7歳。小学校に入り何でも素直に学び吸収するお年頃。
母が雷斗に私がいかに悪者かをあることないこと交えて話したのだろう。幼い雷斗はその新品のスポンジのような小さな頭に私のマイナスイメージをどんどん溜め込んでいった。
結果がこれである。
「近付かないでよ姉ちゃん。俺まで無能力者になったらどうしてくれんのさ。」
雷斗とはたった1人の姉弟同士診断を受ける前は仲良くしていたのに、親に毒され無能力者の私を蔑む弟を見て確かに心が傷付くのを感じた。
雷を操ると言う強力な能力を持っていたことから少なからず優越感を持っていたことも原因だろうか。
人間自分より弱い人間がいると安心するもの。弱い人間を虐めたくなるものだ。
たとえその対象が、唯一血を分かちあった姉弟であったとしても。
無能力者に近付いて無能力になるわけねぇだろばーかチッとか舌打ち混じりに愚痴りながら、こんなんで小学校生活を後3年ちょっとやっていけるのだろうか…とお気に入りの空き部屋の窓辺で外を眺めながら1人黄昏た。
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