しかしそうは簡単にいかないもの。



お受験組以外は幼稚園からそのまま小学生に上がるのでほぼ顔見知り。



つまり子の親も顔見知り。



何やらうちの母は私がすごい超能力を持っているとママ友に言いふらしていたらしく、私が結局無能力者だったこともすぐ広がった。



「全ちゃんって無能力者らしいよ…」


「えっ?でもこの前すごい能力持ってるって…」


「それ嘘だったんだって。」


「嘘つき」「嘘つき…」



おいちょっと待て、それは母が勝手に言っていたんであって私はそんな事言ってないだろ。

と思ったが無駄だと思いジッと教室の隅で耐える。


小学校低学年がすることだ。ちょっと噂を流してみたり陰口言ってみたりするぐらいで害はない。


だが、なんせ知っている子がほとんどだ。友達だっていた。



私はそれが少々堪えた。



同時に、未だに残る無能力者差別の風潮に微かな怒りを抱いた。



そんなこんなで噂はどこまでも肥大し、後に私は「嘘つき大魔王」(小学校低学年らしい微笑ましいあだ名である)と命名された。

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