片目で泣くのは案外難しいもの

それからというもの私の生活は一変した。



注がれていた両親の愛情は雷斗だけに与えられるようになったし、家の中での私の存在はほぼ空気。


育児放棄はさすがに世間体が悪い事を気にしてかご飯は食べさせて貰えたし寝る場所も空き部屋を1つ与えられたが、やはり扱いは雑なもの。


会話なんて勿論無いし、暴力こそ振るわないが一方的な言葉の暴力は増えていった。



そんな中私は、正直せいせいしていた。


重い期待も愛情も鬱陶しく思ってきた所だ。

案外空気と扱われた方が楽なのが正直なところだった。


若干7歳にしては達観し過ぎている気もしたがもう小学生だ。このぐらいだったら乗り切れる。



そう思っていた。

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