第97話

「もう大丈夫です。


もう大丈夫ですから」


ケンのお母さんが看護師さんに頭を下げる。



「ガクちゃん、ありがとね」


ヤンチャなケンの両親は、ケンの為に何度頭を下げて来たんだろう。



「警備員さん、もう騒いだりしないから、その人を離してください。


暴力も振いませんから、お願いします。


ケンとその人を引き離さないで下さい」


私も頭を下げた。



ガクの為なら、誰にだって頭を下げる。



ガクも落ち着いてきたようだ。



「ガク、ノンちゃん、ごめん…」


ケンは小さな声で言った。



「俺達に謝るんじゃねぇよ。


産んでくれた、育ててくれた親に謝れ」



「父ちゃん、母ちゃん、ごめん…本当にごめん」


ケンは泣きながら親に謝った。


そんなケンの頭を、ガクがクシャクシャと撫でる。



「2人はやっぱり最強のコンビだね」


私はケンの涙をハンカチで拭いた。

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