第98話

ケンはこのまま入院して、精神科の治療を受ける事になった。


ケンの両親が帰り3人で話をする。


ガクもケンももう落ち着いている。



「鈴の所に行こうと思って…。


アイツ、寂しがりやだから」


ケンはボソリと言った。



「ケン、鈴はそんな事願ってないよ?


私の知っている鈴は、ケンが幸せに生きてくれるのを願っていてくれてると思う」


私はそう返した。



「鈴の事を想うフリして、テメェが辛いんだろ?


お前が寂しいんだろ?」



「……」


ガクの言葉にケンは返事をしなかった。



「俺達が側にいるから。


お前を1人にしない、安心しろ」


ガクの厳しさには優しさが詰まっている。



「お前、もうすぐ誕生日だろ?


俺達もう車の免許が取れる。


一緒に免許取らないか?


お前の運転でドライブに連れて行ってくれよ」



「私もケンとドライブしたいな!」


そう言ってもケンの反応はイマイチだ。



自殺未遂をした翌日だ、仕方ないと思う。



コンコン!


ドアがスーッと開いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る